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粟谷能の会「木賊」

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10/12「粟谷能の会」に参りました。
この日は菊生先生の3回忌追善能でもあります。

能夫先生の叔父さまに当たられます。
この日の能夫先生は「木賊」を為さると言うので、
随分楽しみにしていました。

「木賊」は、
『老人の物狂い能で、老女物に並ぶとされる至難の曲である。
 シテ、地謡、囃子の緻密なアンサンブルが必要とされる。』と
パンフレットに書かれてありました。
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物語は、一晩の宿を貸した旅僧達の夕餉の席で、
別れた息子を偲んで、酔った上で舞いを舞い,
舞いながら息子の幻を追う。
最後には、旅僧の中に我が子が居て対面出来ると言う
話です。

能夫先生は背丈が有り、決して小柄な方ではないのですが、
老人が狂って静かに力なく舞う所は、
一瞬身体が小さくすぼんだ様に見えました。
芸の力とは、凄い物だと思いました。
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わが子との対面が成って、喜びの舞いを舞うと
地謡が「こは、夢か夢にても、逢うこそ嬉しかりけれ〜」と
謡います。

先生は、能舞台と言う現実ではない世界で、
別れた子に出会ったり、夢を叶えたり出来る。

例え舞台が終われば現実社会に戻ると分かっていても、
幸せでいらっしゃるのでしょう。
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粟谷能の会通信に、
『能を糧として、咀嚼し、血肉化し、そして体現していくという
 作業が生活そのもので、それに値するだけ、能はすばらしいものだと
 信じています。』
先生の断固とした言い様に、畏れを感じました。
伝統芸術を継承して行く、自分の勤めを果たして行く、
覚悟が漲っています。
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私は,能を鑑賞していて1番の見所のシテ舞いが始まると
本当に嬉しい。
上手な方の舞いは、地謡と囃子に自分の手足を載せ、
淀みなく舞い、見る私たちを酔わせてしまう。
身体が気持ち良く、余分な力が抜けて、
文字通り雲の上を歩いている様なのです。
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この日の演能

能   「絵馬」      粟谷明生
狂言  「無布施経」    野村 萬    野村万蔵
能   「木賊」      粟谷能夫


次回

   3月1日(日)  国立能楽堂   13時〜

演目  「安宅」      粟谷明生
    「殺生石」     粟谷能夫


詳しくは、「粟谷能の会」H・Pをごらん下さい。
by magic-days | 2008-10-17 20:49
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