「あかね空」
先日と言っても、大分前になるが深夜WOWOWで7年前に
直木賞を取られた山本一力さんの「あかね空」をやってくれた。
12時過ぎでは、最後迄見れないと録画しておいたのを見る。
実は「本」は、当時読んでいたので筋は覚えていたが、
映画を見て思い出したと言う所もあった。
京都で豆腐修行を終えて年期が明けた主人公が、
自分の店を出す為に、江戸は深川蛤町の長屋に越して来た
所から本は始まっている。
この男の名前は永吉。
永吉がどのようにして、京都風の柔らかい豆腐を
江戸の口に入れて行くかが、1つの流れである。
そしてこの流れに、小さい頃行方不明になった
深川老舗の豆腐屋の息子が、関わって来る。
「功徳を積む」とか「情けは人の為ならず」と言う諺が、
昔からよく使われる。
遠く離れた娘や息子に直接助けてやれないが、同じ様な年頃の
若者を見ると、つい親切心が頭をもたげる。
「人に親切にすれば、良い事があるとしたら、
どうか私にでなく、子供に良い事があります様に!」
親であれば、1度や2度そう祈った事が誰にでも
あるのじゃないでしょうか?
そう言う思いを、老舗の豆腐屋の女将さん(岩下志麻)の立ち場で
伝えています。
その思いが強く現れているのは、映画の方でした。
本は永吉があくまで主軸だったと思います。
永吉の家庭の中の出来事で事が回っていました。
映画は外から永吉の家族の成り行きを、見守っている感じでした。
大きな善意に包まれている様な・・・
それだけに、映画は大きくなっている。
撮影も見事でした。
カメラ・ワークと言うのでしょうか?
登場人物の心を見事に映し出しています。
主役永吉と老舗豆腐屋の息子の2役を
内野聖陽が、剛と柔を好演してます。
篠田正浩監督が企画と監督にも手を加えています。
by magic-days
| 2008-10-01 20:12