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「忍ぶ川」

(ジンジャー)
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一寸前に三浦哲郎さんの「おふくろの夜回り」を読んだ後で、
新聞に三浦さんのお話が掲載された。
三浦さんは脳梗塞の後遺症で、最近は小説が書けなかったが、
お姉さまの事を今度書いてみたいと仰っていた。
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ところが7月に肺炎で入院されて、それは果たされなかった。
私はその代わりとして、何か三浦さんの本を読んでみたいと思った。
考えて見て、それならばやはり「忍ぶ川」だろうと思った。
芥川賞受賞作品であり、それだけの品格のある本である。
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私は久し振りに文学に浸った様な気がした。
自分の生きて来た道を、気負いなく又飾らず、
それ以上でも以下でもなく書き残す事は、
難しい事ではないだろうか?
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2人の姉を自殺で失い、2人の兄は失踪し、
北国の狭い世界で肩身の狭い家族であった。
父親が病気で亡く成った時、主人公は初めてお寺や近所に
悲しい顔をせず、病気で亡くなったと知らせに行く。
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父が人並みな死に方だった事が、彼の救いだったのだ。
滅びの血が自分に流れていると思い。
自分もどんな死に方をするか、分かったものでないと
彼は恐れていたのだ。
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自分の親を知らない事も、不安かも知れないが
まともな死の形を、知らないのも不安だろう。
何に向かって生きて行けば良いのか!

三浦さんは、この本を書く事により不安を打ち消し、
自分の生きる道を探していたのかも知れない。
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「忍ぶ川」を読んで「おふくろの夜回り」が、
本当に目の前に鮮やかに現れて来た感じがしました。
この本の最後に姉上さまの事が書かれていました。
私は次の本が出るのを楽しみにしていましたので、
残念で仕方がありません。


                        8月29日  死去   79歳
安らかにお眠みください・・・・・
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(9/27 7.766歩  9/28 10.119歩  9/29 15.459歩
 9/30 4.059歩)
by magic-days | 2010-10-01 21:21
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