「照葉樹」8号
書き手と読み手が1つの物語を挟んで、向き合う時
その両者の思いは1つでない事があるし、全くぴったり重なるときもある。
私は、よく写真に付いても言うのだけど、
「ブログに載せた時、その写真は撮り手を離れて1人歩きし始めたのだから
私がどう感じようと自由ですよね?」って・・・・
そう前置きして、書き始めると一寸気が楽に成りました。(笑
今回の2つの作品「緋色のリボン」と「TENDER LOVE」は、
多分書かれた時期は違うと思うのですが、
奇しくも同じ主題を持っている様に思えます。
前者は子供の時、家庭内暴力を受けていた女性が、
嫁ぎ先の姑から、家庭の暖かみを受けて成長して行く過程を
描いている。
後者は、夫が他の女性と駆け落ちし、残された心臓病の幼子を
抱えて生きて行く姿を描いた作品です。
今の世の中で、よくある人間模様である。
そして、この事態が改善されず悪い方に転がった時、
そこに犯罪の匂いが漂って来る。
しかし、そこに人間愛がある時悲劇は回避される。
人間は皆全てに満たされて生きている訳でない。
自分が持っている物で、一寸隣で困っている者を包み込む事で、
両者が満たされ孤独で無くなる。
後者の作品は、その事をより強く言おうとしている。
離婚、高齢者の孤独、家庭内暴力、小児難病。
現代の社会問題を描き乍ら、そこに社会派と言う枠を作らずに
作者は、1人の人間がその日その日を、一生懸命生きる姿を描き、
その渦に巻き込まれて行き乍ら、助けるつもりが自らも助けられ
自分の生きる場所を見付けて行く姿を暖かく描いている。
こんな不況な世の中でも、貧しくとも暖かな気持で
生きていけれる事を教えてくれる。
前々回の本文に書いた
「愛されている者は強い。そして愛する者を持つ者は強い。」
と書きましたが、もしかしたら水木 怜さんも同じ思いなのだろうか?
これは、私の勝手な思い込みですが・・・
世界中の人に愛する者が居て、誰かに愛されていたら、
この世の中から、少し不幸が減って行く様に思います。
そうじゃないでしょうか?
今回は、沢山の問題提起を頂いた様な気がします。
ひょいと軽く渡された物が、意外にも重いんですね。
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by magic-days
| 2010-02-18 23:24