「切羽へ」

f0086169_101790.jpg

暑い毎日ではあるが、又朝の散歩を何日か前から始めた。
まだ、木陰を選んで歩けば、気分は良い。
汗をかいて歩くのも爽快である。

高源院で睡蓮を見ていると頭の上を綺麗な黄緑色の
尾が長い鳥が2羽横切って、向こうの電線に停まった。
丁度オナガくらいの大きさであった。

帰って調べてみたが、私のガイドブックには載ってなかった。
サイトも見てみたが、イマイチである。
f0086169_108498.jpg

第139回直木賞受賞作「切羽へ」(井上荒野)を読了。
「切羽(キリハ)」とは、帯には『それ以上先へは進めない場所。』と
書いてあるから、
ドロドロの愛憎物かと思って気が引けていたのだが、
懐かしい九州言葉に惹かれて読み進んで行った。

読み終わって、そんな説明文に惑わされずに読んで良かったと
思いました。
ドロドロどころか、深い陰影の籠った細かい襞がさざなむ様な
美しい海の絵を見るようである。
f0086169_10365276.jpg

切羽は、行き止まりの様であるがそうではない。
トンネルを掘る時、左右2手から掘り進む。
掘っている間は先頭はドンつまりの切羽である。
しかし、向こうからもこちらに向かって掘り進んでくれている以上は、
何時かは、2つのトンネルは開通して切羽は消滅すると言う事を
私は感じました。
解決の道へと通じると言う事でしょうか?
f0086169_1043795.jpg

主人公セイと島に赴任して来た男の交流は、
狭い島の中と言う事とセイには夫が居ると言う事の2つの枷がある訳です。
しかし、そもそもこれは、男と女の愛だったのだろうか?

2つのそれは、何かの理由で離ればなれに成った片割れ同士で、
お互いの現在を確かめる為に惹かれ合って会いに来たのでなかったか!
勿論それは、1つの世界の中の話ではない。
f0086169_10505273.jpg

お互いにそれと気付かずお互いの存在をいつも傍に感じる。
私は、この男が哀れで成らない。
重い物を心に抱き、それから逃れるように突然陽気に成ったりする。
彼は、幸せに成れない自分を哀れみながら、自分の居場所を探している。
救いを求めて生きているのかも知れない。
f0086169_111384.jpg

島の生活が生き生きと綴られ、海に囲まれた島の美しさがまぶしい。
多分、西九州辺りの小島だろう・・・

最後にセイがクロッカスの苗の横に、男が置いて行った
木で作った粗雑な十字架を埋める所が良い。
優しさが余韻を育む。


(3枚目以降からは、オナガです。)

トップの写真は、ワカケホンセイインコだと言うお知らせを
kugayamaさんから頂きました。
有り難うございました。
[PR]
by magic-days | 2008-08-16 10:10
←menuへ