「夜明けの縁をさ迷う人々」

f0086169_21553816.jpg

小川洋子さんの9つの話から成る短編集「夜明けの縁をさ迷う人々」は、
奇妙で不可解な話ばかりなのだが、絶対無いとは言えない世界すれすれの話だけに、
読んだ後も何だか背中当たりが薄ら寒く、つい振り返ってしまうのだ。

読んでいて、この方の日常を覗いて見たいと思った。
例えば散歩の途中で野良猫に会ったりすると、立ち止まりじっと見つめて
『この猫の後を付いて行ったら、どこに連れて行ってくれるだろう?
あのマンホールが開いて、その中に潜って行くと急に燕尾服を着た
伊達猫になって私を・・・・』と考えだしてニヤニヤ笑っていて、
吾に返って周りを見回し誰も居ないのを確かめ、
ほっとしてスタスタ歩きだす。
f0086169_2284393.jpg

そんな状態の中から生まれた作品達の様な気がします。

何処迄が本当で何処迄が作りごとなのか?
迷宮回路とは、こういう事をいうのでしょう・・・・

9つのお話は、総べて手を変え品を変え共通点が無い。
良くこんな事を考え出す物だと感心してしまう。
小川さんの懐の深さを見せられ、完全に読者はお手上完敗に成ります。
1つ1つの話の始まりは、「何これ?バカバカしいこんな事ある分けないじゃ無い。
今回は外れだったなぁ〜」と思っても最後迄読むべし!です。
f0086169_22214412.jpg

お話の結びは、必ず小川さんらしい優しさと思い遣りとはぐらかし(笑)で
終わっており、読者が如何様にも考えを膨らます余白が取ってあります。

「どうぞ、この続きは貴女様の思いの侭に・・・」
謎の微笑みを残して、小川さんは朝日のきらめきの中に消えて行くのです。
[PR]
by magic-days | 2007-10-05 22:28
←menuへ