白い牡丹と山芍薬

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                          (4/28撮影)

  「お父やんとオジさん 上・下」   伊集院静  講談社
この本に書かれている事は、実話です。
其れを知って読むと、実に深い一家の歴史だと知る事が出来ます。
主人公の少年(伊集院静)は、少年の時に韓国から一時的に来日していた
オジさん(お母さんの弟)を垣間見て、惹かれます。
時を経る程に英雄化して行きます。
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                          (4/9撮影)
オジさんは、昔日本で家族と共に塩田で働いていたのですが、
終戦と共に新しい国を作るのを夢見て、家族と共に韓国に帰って行きました。
少年の両親は、日本で事業を伸ばして行く為に残りました。
韓国に渡って直ぐに、オジさん達は南北朝鮮の戦いに巻き込まれて行きます。
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                          (4/29撮影)
オジさんを待っていた運命は、屈辱にまみれた毎日でした。
1つの国が2つに裂かれる悲しみは、体験した者にしか分からないけど、
想像しただけでも、胸が締め付けられます。
戦争と言う物が、国民の関わりのない所で始められ、
長い間地獄に落とす、モンスターである事を再確認しました。
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アメリカ軍が韓国に援軍を送り、北朝鮮と闘っている時、
韓国の田舎で留守を守る年寄りや女達は、働き手が無いので、
逃げて来た北朝鮮の男達を匿い、その代わりに畑仕事をさせて、
夜は皆で酒盛りをしていたのです。
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80人の村人に、150人の北朝鮮の男達が、あちこちの家の地下室に隠れていたのです。
同じ国同士の物が、北と南に引き裂かれて、心の底から憎しみ会う事等
出来なかったのでしょう。
この事実を知ったアメリカ兵達は、苦笑したそうです。
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そして少年は、オジさんの真実の姿を知り、お父やんの勇気と
男らしさを知って誇りに思った事でしょう。
(理由は敢えて書きません。読んで頂きたいと思うから)
母を愛し、子供を愛し、身内を愛し、仕事仲間を信じ、信頼され、
お父やんの思いの暖かさを少年は、自分の将来の姿とし、励みとして
生きて来た事でしょう。
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   「銀の匙」   中勘助  岩波文庫

以前読んだ本に書かれていたこの本を、何時か読んでみたいと
思っていましたら、先日本屋さんで見つけて、迷わず購入しました。

主人公(中勘助自身)は、難産で生まれひ弱で、母親も身体が弱く
伯母さんの手に依って育てられました。
この伯母さんが大した人で、日本古来の話も上手く、子供遊びも上手で、
聞かせてくれた話の中でも、「千本桜の初音の鼓」の話は、
身に詰まされて、何時迄も思い出されて涙がこぼれたのでした。
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「銀の匙」とは、子供の頃から病弱で、薬ばかし飲まされていたので、
飲みやすい様にと伯母さんが、何処からか持って来たのです。
身体が弱いので、近所の男の子とは遊ばず、
何時も可愛らしい綺麗な女の子とばかり遊び、
情も細やかに、深く親しんでいました。
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自然に対する感情の豊かさ、その表現の的確で美しい事に
私は溜め息ばかり吐いていました。
日本の四季の移ろい、鳥や花や空、川・・・
その全ての造形に涙し、立ち尽くす少年の後ろ姿を抱きしめて、
心の奥深くに仕舞い込んでおきたい気持です。
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何かの折に閉まった扉の隙間から、日が射す様に艶やかに
躍り出て来て、私を喜ばしてくれるでしょう。

何と言う日本語の美しさ。
語る表現の新しさ奇抜さ、若き日の夏目漱石が感嘆したと聞けば、
さもありなんと思い、両の手のひらに其れを挟み、
その豊かさを自分の中に宿したいと念じました。(笑



ボタンの花は、2年前に深大寺にて買いましたが、去年は咲かなかったと思います。
今年は見事に開きました。
山芍薬も咲きました。これも深大寺にてもとめました。
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                        (4/17撮影)

(その後・・・・)
牡丹は「触れなば、落ちん」風情でしたので、本日(5/3)
花がらを摘み取り、来年の花が又美しく咲く様にお願いし、
少し感謝の肥料を与えました。
「ありがとう」
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by magic-days | 2012-05-02 20:45
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