罪の許し

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随分ご無沙汰致しました。
長い休息を戴き、心身ともに漲る力を感じます。
これからも宜しくお付き合い頂けましたら、
幸いです。

さて本日は、水木怜さんが照葉樹の特別号とし、
単独て出されました「残照」のご紹介をさせて頂きます。

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物語の主人公多恵は、多分ryoさんや私と同じ年代の女性です。
その多恵が、結婚して短い年月で離婚した事により、
1人息子と離ればなれなります。
長い年月を経て、家を出た息子に巡り会うための、道のりの途中で、
思いもかけず別れた夫を理解し、もう1度見つめ合う「時」を
与えられます。
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結婚の破局の原因は、夫にあると思っていた多恵でしたが、
自分にも至らぬ所があったと反省します。
昔の猛々しさが無くなった年老いた夫に、多恵は罪滅ぼしの様に
優しく接します。
この物語には、親が仕出かした悲劇と
子供も同じ事を、繰り返す二重の悲劇が書かれています。
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衝撃的だったのは、息子の同棲相手が、その弟の死の重荷に
耐えきれず、自分も死にたいと思うのだが、
その死の後押し役を多恵の息子にさせるのです。
息子にその女を包み込む愛があったなら、
勿論その女は死を選ばなかっただろう。
(カイツブリの抱卵)
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だが息子は若くて、自分の抱えた重荷に耐えきれないで、
女の愛に縋って引きこもっている身であったから、
それは望むべきも無い事だった。
どちらにとっても不幸な話である。

息子は女を死に追いやった罪におののく。
しかし不思議な物で、その事により母が父の元を
去った理由を計り知る。
自分は全く父と同じではないか!
愕然とした裏で、父を越えて立ち直る事を決心する。
その決心を支えたのは、言う迄もなく多恵と克美の
揺るぎない愛であった。
(カイツブリの番)
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水木さんの今回の作品を拝見して、
物語の構築の緻密さ(これは何時もの事です。)
人間関係の奥深さを感じました。
そしてそう感じさせたのは、実に会話が生きているからです。
息子を育ててくれた後添いの克美や、前夫の伯母ハマノとの会話に
特に感じました。
思わず引き込まれて、聞き入ってしまいました。
(ユリの木)
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前夫との生々しい性も、敢えて書かなければ、
この物語は始まらなかったでしょう。
その部分がどす黒い血を感じさせるから、
親子の血の繋がりや、男女の縁の不思議も伝わって来ます。

神は自分の罪に気付き、後悔して許しを乞う者に、
実に寛容であると思う。
水木さんの作品を読み終えて、
大きな希望と勇気を戴いた気がしました。

本の「あとがき」に、こう書いてありました。

人間は生きている限りは「まだまだ夢の途中」・・・


上のカイツブリは、ただ今卵を温めています。
詳しくは自然観察の部屋へどうぞ!
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by magic-days | 2011-05-18 22:37
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