「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」

(ひよどり)
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この「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を読み終えた時、
私は静かな悲しみに満たされました。
こんなささやかな幸せとも言えない物を、
「私」は望んでいたのだろうか?
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「私」は、多分今より半世紀くらい未来に生きて、
情報戦争の戦士として、働かされた上に、知らない内に脳を
いじくられ、命を落とす事に成る。
(つぐみ)
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しかし「私」は自分でも知らない内に意識下に、
理想の国を作っていた。
そこは、現実の世界とは真反対の壁に囲まれた街で、
静かで争いも無く、全ての人に上下関係が無く、
穏やかな生活が毎日続いて行く。
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ただ、そこに住む人々には影が無く、心もない。
この街に入った時に、影と「僕」は別々にされて、
影が死んだら、心も無く成り永久にこの街から出る事は出来ない。
(おおたか)
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心を失わない方法は1つ。
影だけが無事にこの街を逃げ出る。
もしくは、影と「私」が揃って逃げ出す。
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「僕」は、影と一緒にこの街から逃げ出す事を試みたが、
その時この街を「僕」が創った事を感じ取る。
それを知った時に、この街がどうなって行くか、
見定める責任を感じて、影と別れてこの街に残る道を選ぶ。
(メジロ)
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正しく言えば、この街の傍の森の中で一生過酷な労働をして、
自給自足の生活を営んで行く。
その代わり心を失う事はない。
(雀)
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その頃「私」は、晴海埠頭のレンタカーの中で命を終える。
オート・リピートにされたテープが、ボブ・ディランの
「風に吹かれて」から「激しい雨」を歌い続けていた。

村上春樹さん38歳の頃の作品です。
この方は、この作品で何を言おうとしていたのだろう?
(ヒヨドリ)
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人間の幸せとは、シンプルな所から産まれて来る。
と言いたかったのだろうか?

それとも所詮この世に、幸せ等無いと言いたかったのだろうか?
この本の「上」は、凄く面白かったです。
ワクワクとして、子供の時に読んだ「15少年漂流記」を読んだ時の
興奮を思い出しました。
しかし「下」は、深刻で重厚で、苦しい程真面目に成って行きます。
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村上春樹さんは、本当に真面目で、料理がうまくて音楽が好きで
映画に詳しく、女に優しく、でもきっと愛に溺れない人だろうなぁと
何となく思いました。

私は、意識下でどんな街を作っているのだろうか?
それはきっと、今の環境に満足してない点を上げればすぐ分かります。
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この本は2つの話が同時進行します。
「私」は、「ハードボイルド・ワンダーランド」の主人公。
「僕」は、「世界の終り」の主人公です。
そして、2つの話は1つの物語です。


(11/26 7.599歩 /27 9.249歩 /28 8.221歩 
 /29 6.336歩 /30 5.085歩 12/1 13.361歩)
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by magic-days | 2010-11-30 23:17
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