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「日向嶋景清」

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...................... .................................(マンションの前の桜が2分咲きになりました。)
2代目中村吉右衛門が還暦を1つの節目とするべき仕事として
2年の月日を費やして、自ら台本を書き脚色された
「日向嶋景清」が完成して、歌舞伎座で初日を迎えるまでのドキュメントが
先日BSであった。
筋や解釈を自分なりの感性で書き換え、書き加え推敲の末に完成した台本に
対する執着をクールに受け止め、これが完成というのでなく、
この本に又次世代の者が書き加えて出来上がって行く物ではないだろうか?
と言い放つ所に、この方の力量の深さを感じます。

この方のお父上先代松本幸四郎さんが、景清をやった時同じ舞台に立ち
その偉大さを目の辺りされ、又今度の舞台を甥の染五郎がどの様に感じられたか?
歌舞伎が世襲制を敷いている理由の1つは、末永く歌舞伎を継続させ
栄えさせて行く目的の為なのでしょう。
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平家の武将景清が源氏に滅ぼされた後に源氏に誘われますが、
源氏になびく位ならと両の目を突いて盲となり、日向嶋に流されて
食べ物にも困る庵暮しをしている事を、娘が聞き身売りをして作った
お金を持って尋ねて来ますが、親子はしばし話して別れます。
その後お金の出所を知って、娘を助ける為平家を捨てて源氏として生きる
覚悟で舟出します。生きると言う事に重い意味を持たせ、今の人々にも
命の尊さを知ってもらいたかった上での解釈の変更でした。
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                     .(玉川上水土手の菫)
能「景清」では、源平合戦の様子を娘に語り2人は別れます。
娘を見送り景清は島に残ります。
主人への忠義の物語で終わっていますが、中村吉右衛門さんは希望や
死ぬも生きるも辛いが生きてこの世に花を咲かそうよと言っているのです。
良い終り方だなぁと思いました。

機会があれば、又演目となされた時舞台を拝見したいと思いました。
by magic-days | 2006-03-26 16:20
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