ルーシー・リー展
先日の日曜日に、私は国立新美術館で行われている
「ルーシー・リー展」に行って来ました。
写真で見たときから、ルーシー・リーの陶器に惹かれました。
シンプルで硬質で、清潔感溢れる陶芸品の数々。
会場で彼女の写真を見た時、益々惹かれました。
小柄で、優しそうな笑顔。
ロクロを回し、釜の中から作品を取り出したり、
男の人でも大変な、創作活動をしてる様な、パワーは感じられず、
どちらかと言うと、紙や布を材料として創作してる様な
そんな老女でした。
彼女が世間に認められたのは、65才でした。
それ迄は、新しい風を起こす芸術家によくある様に、
貧しい生活を強いられました。
彼女は、ウイーンで生まれました。(1902年3月16日)
裕福な小児科の家に、ユダヤ人としてこの世に存在したのです。
ヒットラーが台頭して来て、何もかも置いてロンドンに
亡命しました。
彼女の作品は、何処か東洋人である私に、懐かしさを感じさせます。
ヨーロッパの人の作品なのに、何故こんなに私の心を懐かしさで充たすのか?
彼女が最初師と頼んだ人は、バーナード・リーチでした。
彼は日本の民芸運動の影響を受けた人だそうです。
そう言う所に、彼女の求める美と一致する物が、
あったのでしょうか?
彼女は、後に年下の協力者ハンス・コパーの力を得て、
徐々に自分の美を高みへと持って行き、
完成させて行きます。
彼は彼女の作品を批評しました。
彼女は彼の作品を批評しませんでした。
何故か?
「彼の作品は完璧だったからです。」
このひと言に、彼への信頼と友愛を感じます。
彼は独立して、彼女の工房を出て行きますが、付き合いは生涯続いたそうです。
彼女は脳梗塞で、倒れる88才迄制作を続け、
93才自宅でこの世を去りました。
何と言う清廉な生涯でしょう。
彼女は「私は芸術家ではありません。職人です。」と言っています。
それは謙って言ったのでなく、
職人と言う者に、誇りを持っていたのだろうと
私は思います。
彼女の作品には、インテリアは花器位で、全て実用品でした。
器の底から放射状に細い線が掻き引かれていたり、
網の目に引かれていたり、その線が器に陰影を作り、
味わい深い広がりを創ります。
1つ1つの器を勿論手に取れないけど、
掌に包んで、その暖かさを感じたいと思いました。
彼女に昔会った事が、ある様な気がしました。
母の様な、
義母の様な・・・・
何時も優しい女性が、やはり1人の人間として、
厳しい世界で、生きていたのだと言う驚きと共に、
尊敬を込めて私は、会場の写真を見つめていました。
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by magic-days
| 2010-06-01 21:40